探求 現代の国語/探求言語文化 付属教材・資料見本
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 鬼 死人にてもぞある板書例② 刀7・11 おのれ 死にたる人の、葬りなどえせぬ二一七・1か。1・①」)二一八・3してか。二一八・8▽「板書例②」参照。二一八・15問   盗人が嫗から「奪ひ取」ったものは何か。▽「考える手がかり③」参照。二一九・3かるか。●まとめのポイント近代の小説問   嫗が死人の髪を抜き取っていたのはどう問   盗人が「走り寄」った理由を説明せよ。問   「男」は第二段落以降で何と呼ばれている問   本話の最後の一文からどういうことがわ546*4 31人の、連子からのぞき見た光景に対する驚きが表現されている。 巻二十四第二十四話には羅城門の上層で、宮中から盗まれた琵琶の名器玄象を鬼が弾じ、聞きつけた源博雅が持ち帰ったことが見える。当時羅城門には鬼神が棲むと考えられていた。羅城門は九八〇(天元3)年七月暴風雨のために倒壊し、その後は再建されなかったので、「今昔物語集」執筆当時にはすでに存在しなかったことになる。係助詞「も」は「もぞ」「 死んもだこ人その」の霊形だとで困懸る念。を表し、訳は「~と困る・~といけない」。「死人」はここでは盗人の心理と行動から「死んだ人の霊」と取ったが、注釈書によって解釈が分かれている。次に紹介しておく。 ①「(鬼だと大変だが)もしかして、ただの死霊かもしれない。死霊でも霊鬼にならないものは、さして恐ろしいものではなかったらしい。」(「新編日本古典文学全集」頭注) ②「死人であるかもしれない。ただしこのままでは不審。あるいは死霊の意か。鬼でなければ狐などの人を誑かす動物と考えるのが当時の通念。」(「新日本古典文学大系頭注」) ③傍訳は「只の人かも知れない」。「この『死人』は『人』とあってよいところ。」(「新潮日本古典集成」頭注) 長身の太刀に対して小刀をいう。小さな刃物。 代名詞。①反照代名詞。人称に関係なく、自分自身。本人。②一人称。自分を卑下していう。「私」「私め」。③二人称。目下の者に対して用い、相手を卑しめ、罵っていう。「おまえ」「きさま」。ここでは③の意。11行目は②の意。 関わり合う。世話をする。めんどうを見る。ここでは文脈から「葬儀をする」意。 かずら。頭髪の短いときや少ないときなどに別の髪の毛を束ねて自分の髪に添えて用いる。類義語に「かもじ」がある。葬儀などできない人。「の」は同格を表す格助詞。「え」は不可能を表す副詞で、ここでは「ぬ」と呼応している。「葬りなどえせぬ」については、必ずしも経済的な理由だけではなく、風葬(遺棄)の遺風とする考えもある。教科書(二〇四~二一九)○盗人の心理と行動 1「これを見るに」  (行動…目撃) 3  ↓「死(人さにらにても観ぞ察あ→る安 」 (堵 (…恐怖鬼懸で…念…は鬼死なかい霊))か)二一九ページ 場面の展開・登場人物の人物像をまとめる。答   盗人。▽「男」は「盗みせむがため」に摂津の国から上京した人物として最初から設定されている。(→「深めよううと思ったから。▽「深めよう1・②」参照。答   死んだ女の髪の毛が長かったので、かつらにしよ答   嫗の正体が人か死霊か見極めようと思ったから。答   死人の着物、嫗の着物、抜き取った髪。ん、当の盗人のような悪人ですら忘れられない異常な体答   羅城門での出来事は、聞き伝えた人々はもちろ験であったということ。 死んだ人で、 主題を把握し、「羅生門」との相違点をまとめる。   盗みや死体の遺棄などの悪行がはびこり、人々の心もひどく荒廃していた、末世の都の惨状。▽羅城門はその象徴であった。(→「深めよう2」)羅生門問答   本話の表題・第四段落の内容から主題をまとめよ。15脱 奪落ひし取たりもての。 「奪ばふ」は「うばふ」の頭母音が13 鬘11 あつかふ  5 ↓「おのれは、おのれは」(行動…襲撃)  4 ↓「脅して試みむ」(意志…人か死霊か)   2 ↓ 「 (鬼 →に羅城や「門心あにもらむは得鬼ね」がば棲」(む不)審…人か)97*言語文化 指導資料(近代以降の文章編)

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