探求 現代の国語/探求言語文化 付属教材・資料見本
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単元の包括的なねらいと位置づけ、学習する教材の構成と特徴を示しました。ご授業に当たっての基本方針を立てる際などにご覧ください。単元のねら性いが・涵単養元さのれる構よ成う指導したい︒ 「古文入門」の単元で学んだ古文の基礎をもとに「随筆」と「日記」を学んできたが︑ここでは「物語」と「軍記」の二分野の作品について学習し︑ストーリーを捉えるとともに︑登場人物の心情などを読み味わうことを目標とする︒ 「物語」という分野は文学の中で大きな位置を占めている︒これは何も日本の古典文学に限ったことではない︒物語文学に触れる多くの読者たちは︑それがいかに虚構の世界であったとしても︑物語世界の登場人物の行動や心情を読み取り︑ときに自分自身をその人物になぞらえ︑同じように笑い︑涙し︑憤り︑そのような物語世界に遊ぶことを楽しんできたのである︒そしてその世界に遊ぶことができるのは︑何もある時代やある場所に限定されるものではない︒時代を超え︑現代の人々も︑そしておそらくは将来の人々も︑そしてその作品が作られた国だけでなく世界のあらゆる所で︑十分享受できるだけの内容を持っているものなのである︒もちろん享受の度合いは異なるであろう︒しかしそこには人間の感情に訴える普遍的なものがある︒それだからこそ︑その作品が多くの人々の琴線に触れ︑古典としての価値を備えるだけのものとなったのである︒ 「物語」分野からは︑伝奇物語の「竹取物語」︑歌物語の「伊勢物語」の二作品︑「軍記」分野からは「平家物語」を取り上げた︒どれもが魅力ある日本の古典文学を代表する物語である︒まずは︑ストーリーを正確に捉え︑そして登場人物の行動・心情を追体験することが目標である︒そのような物語世界に触れ︑さらには生徒が自らさまざまな物語作品を原文で読み︑さらなる豊かな感受「竹取物語」からは︑「なよ竹のかぐや姫」と題した冒頭部分を取り上げた︒「翁」がどのようにして姫を得たか︑また姫の持つ神秘性や翁の生活の変化など︑「かぐや姫のお話」として学習者におなじみの話を改めて原文で読み味わい︑物語文学の世界へ誘う端緒としたい︒「伊勢物語」からは︑五つの章段を取り上げた︒「芥川」は︑高貴な女性を思い慕って盗み出すが︑悲劇に終わる話︒「東下り」は︑自らを無用と思い込み東国へ出発したものの︑長い旅の果てに都とそこに住む愛する人を思う話︒「筒井筒」は︑幼なじみの二人の恋が成就し︑やがて破綻しそうになるが︑和歌でその危機が救われる話︒「小野の雪」は︑在原業平らしき男の仕える惟喬親王が︑突然の出家に至る話である︒これらの話を通じて︑さまざまな人間模様を読み取ることができるはずだ︒「平家物語」からは︑「祇園精舎」と「木曽の最期」を取り上げた︒冒頭の「祇園精舎」は︑既習の生徒もあるだろうが︑「平家物語」全体を理解するためにも重要な部分である︒「諸行無常」「盛者必衰」という本編を貫く思想がまずここに示されているからである︒音読をし︑和漢混交文の魅力にも触れたい︒「木曽の最期」は︑平家打倒に力を尽くした源義仲が︑後白河法皇の命を受けた源頼朝の軍勢に追われ︑最後の一戦を決意し︑命を落とす場面である︒合戦の迫力ある描写と︑登場人物の心理を読み味わいたい︒ 平安時代と鎌倉時代という社会的背景の違い︑また︑そこに生きた人々の思いと行動の違いを考えさせ︑さらに伝奇物語・歌物語・軍記物語それぞれが持つ独特のリズムと作品世界を味わうことで︑生徒の古典作品へのさらなる興味を喚起したい︒単元のねらい単元の構成62    *言語文化 指導資料(古文編)竹取物語伊勢物語平家物語物語と軍記

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