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「くま」に対する次の登場人物の接し方の特徴をまとめてみよう。わたし子ども③ 「サングラス」の男と「シュノーケル」の男釣りをしている人たち解答「抱擁を交わしていただけますか。」(八四・下3)という「くま」の言葉はどのような意味を持つか、話し合ってみよう。話解答解説「悪くない一日だった。」(八四・下19)には、「わたし」のどのような気持ちが込められているか、説明してみよう。読解答解説「熊の神様のお恵みがあなたの上にも降り注ぎますように。」(八四・下14)という言葉には、「くま」のどのような思いが込められているか、考えてみよう。読解答     話︙話す・聞く能力︑書︙書く能力︑れば見て見ぬ振りをするだろうが、離れ読︙読む能力︑知︙知識・理解     ① 「くま」と散歩をしたり、抱擁を交わしたりと、「くま」の存在を受け入れ交流している。「くま」の心情を慮ってみてもいるが、「熊の神」については見当がつかなかった。珍しいものを見つけた驚きと興奮を素直に表している。「くま」を傷つけるような行動をとるが、純粋な関心の表れでもある。③「サングラス」の男…何も言わずにただ立っている。「くま」と「わたし」の両方に関わり合いたくない。 「シュノーケル」の男…わたしをちらりと見ており、「くま」と一緒に散歩する人間への好奇心はあるが、「くま」の顔を正面から見ようとはせず、「くま」への無関心を装っている。子どもの行動を咎めることもしない。指さして何か話している。近くにいた場所にいて危険が及ばないため、ぶしつけな態度をとっている。わたしは、「くま」を受け入れるのと同時に、「くま」と人間が異質であることも意識している。「熊の神」がどのようなものか見当がつかなかったように、本質的に理解し合うことが難しいと気づいている。子どもは異質な存在である「くま」に遠慮ないまなざしを向ける。毛を引っ張ったりパンチをしたり直接的に傷つけるような行動をとるが、「くま」が「邪気がない」と言うように、大人と比べて悪意は感じられない。自分から近づいてきておきながら、何も言わない「サングラス」や、「くま」を見ないようにする「シュノーケル」の男の行動は間接的だが、「くま」の存在を否定する行動であり、よほど「くま」の気持ちを傷つける振る舞いであろう。「釣りをしている人たち」や「徐行しながら大きくよけていく」車の運転手の行動からは、「くま」がこれまで人間社会でどのように扱われてきたかがうかがえる。人間に合わせて本来の行動を抑制してきた「くま」であったが、「くま」のあり方を受けとめてくれた「わたし」に対して、その抑制を緩めて本来の側面を開示しようという気持ちが芽生え、「くま」の習慣に従った挨拶を求めたのである。「くま」はくまと人間の習慣が異なることを理解しており、「わたし」に「抱擁」が受け入れてもらえる保証はないため、遠慮がちな言い方になっている。異質な者どうしが、互いの異質さを理解しながら、その異質さも抱擁の一瞬の間受け入れ合ったという意味を持っている。「わたし」への親しみを「くま」本来の習慣でありのままに表したい「くま」の気持ちが読み取れる。抱擁を交わすことによって、「くま」と「わたし」が「親しい」と確認されるのである。◆◆◆「くま」との一日をそれなりに楽しんだ気持ち。「悪くない」を「よい」と言いきれなかったと見るか、婉曲的に「かなりよい」ことを表すと見るかで、散歩への評価が変わる。「わたし」は「くま」の「いい散歩でした。」(八四・上5)、「またこのような機会を持ちたい」(八四・上8)という言葉にうなずいている。「くま」の「何から何まで行き届いた」(八三・上14)気配りもあって散歩自体は楽しむことができたのだろう。ただ、「三人連れ」をはじめとする周囲の人間の振る舞いによって心に一点の曇りが生じていると考えられる。世界観の違う者同士が互いを理解し合うことは難しいと承知しつつも、人間社会になじもうとする自分の努力に応じてくれた「わたし」に、せめて自分の信じ◆◆◆    【評価の観点】 関︙関心・意欲・態度︑神様解説教科書(八〇〜八五)評論Ⅱ〈知〉の深化深める手がかり読①28読み取ろう 3深めよう 1読み取ろう 1      ②   ④   ④ ②   読み取ろう 2*現代の国語 指導資料(〈知〉の深化―小説)

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