探求 現代の国語/探求言語文化 付属教材・資料見本
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単元の包括的なねらいと位置づけ、学習する教材の構成と特徴を示しました。ご授業に当たっての基本方針を立てる際などにご覧ください。単元のねらい・て単い元るの︒評構論成読解に慣れない生徒のために︑ハードルを低くして︑文部科学省によれば︑「現代の国語」の「読むこと」の領域の教材は︑「近代以降の論理的な文章及び現代の社会生活に必要とされる実用的な文章」であり︑この中の「論理的な文章」とは︑「説明文︑論説文や解説文︑評論文︑意見文や批評文︑学術論文など」のことである︒そもそも︑文章そのものが「論理的な文章」と「実用的な文章」︑さらに「文学的な文章」に分けられるのか︑あるいは︑文学と論理は対立する別項なのか︑さらに︑右の分類の中の説明文から学術論文に至るものはどのように異なるのか等々︑多くの疑念があるが︑少なくとも「現代の国語」では︑これまでの国語教科書で評論として扱ってきた教材が大きな柱になることは確かである︒ そして︑本単元は︑桐原書店「現代の国語」において︑詳細な読解を目指す単元の一つめであり︑右のように「論理的な文章」の具体的内容は多様で茫洋としているが︑「論理的な文章」の重要な要素としてある「評論」の入門教材を配した︒右の分類の中での最後に「学術論文」が挙げられているように︑国語教科書で扱う「評論」といえば︑学者がものした学問的な固い論文のイメージが強かろう︒もちろん︑それを読みこなすことも︑この科目の最終的な目標であろうが︑まず︑身近な話題から説き起こし︑日々の生活にちょっとした新しい視点を加える力を持った論理的な文章を︑ここでは扱う︒ すなわち︑二つの教材ともに︑著者はメインの職が大学教授ではなく︑文章は情緒的な側面も持ちながら︑しかも論理性を保っ以下の二作品に臨まれたい︒その二つの教材とは︑グラフィックデザイナーの佐藤卓による「ほどほどのデザイン」と︑詩人︑評論家として著名な大岡信による「言葉の力」である︒佐藤卓はパッケージや企業ロゴなどのデザインを専門としており︑シンプルかつ印象的な手法で定評がある︒そのシンプルと似た発想を「ほどほど」や「空き」というキーワードで示しながら︑日本の箸や風呂敷について論じたのが︑「ほどほどのデザイン」である︒箸や風呂敷という身近なものへの視点であり︑それらにもデザインがあることに気づかせること︑そして︑フォークやナイフ︑あるいは中国や韓国の箸など比較しながら︑そのデザインの特徴を明らかにする展開が︑大きな特徴である︒さらに︑その論理が「豊かさ」の考察にもつながり︑また「ほどほど」という発想自体も︑肩に力が入りがちな生徒へのエールになるであろう︒大岡信の「言葉の力」も︑「ささやかな言葉」こそが「人を深く揺り動かす」という冒頭の一文が示すように︑小さなものへの着目からスタートしている︒それを通して︑タイトルである「言葉の力」について考えながら︑志村ふくみの染色や︑その色の元となる桜のピンクを提示する展開が見事であり︑評論でありながら︑豊かな随想のような趣も漂わせている︒いずれも︑ささやかな起点から読み進むにつれて新しい世界が広がる点で︑本教科書の最初の評論単元にふさわしいと考える︒一方で︑「言葉の力」は弊社教科書では定番として長く掲載してきた教材であるのに対し︑「ほどほどのデザイン」は新しい感覚の文章である︒その対比も味わっていただければ幸いである︒ 1       単元のねらい単元の構成*現代の国語 指導資料(評論)ほどほどのデザイン言葉の力評論Ⅰ

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